
議事録の書き方を調べると、日時・出席者・議題・決定事項という形式の説明が並びます。ただ、続けるうえで効いてくるのは形式ではありません。打ち合わせ1回につき1つの議事録を作る、というやり方そのものを見直すと、書く量も後から探す手間も減ります。ここでは、フォーマットを埋める作業をやめた書き方を紹介します。テンプレートも配布しています。
形式を整える時間は、成果につながっていない
打ち合わせが終わってから議事録を書くとき、実際に時間を取られるのは内容を思い出す部分ではありません。見出しの体裁を整える、出席者を並べる、前回の書式に合わせる、といった作業です。
この時間は、読む人の役にも自分の仕事の前進にも、ほとんど寄与していません。それでも形式を崩せないのは、崩したときに何を書けばいいのか分からなくなるからです。つまり形式は、書く内容を決められない不安を埋めるために使われています。
だとすれば、見直すべきなのは項目の並びではありません。打ち合わせ1回につき1つの議事録を作る、という前提のほうです。
1回ごとの議事録から、課題ごとの1行へ
議事録は普通、打ち合わせ1回につき1つ作ります。この単位のまま続けると、同じ話が複数のファイルに分かれて残ります。「あの件は今どうなっているか」を知りたいときに、日付の見当をつけてファイルを開くしかありません。
単位を変えて、1つの課題を1行にします。打ち合わせで新しい話が出れば行を足し、既にある話なら該当する行に書き足す。こうすると、1つの課題の経緯が1か所にまとまり、打ち合わせをまたいでも追えるようになります。
書くことも減ります。前回から動いていない話は書かなくてよく、その回に動いたものだけ手を入れれば足ります。
実際に使っている列の構成(テンプレート配布)
表計算ソフトで作った一覧で足ります。専用のツールは要りません。実際に使っている列は次のとおりです。
| 列 | 書く内容 | 続けるための注意 |
|---|---|---|
| 顧客 | 相手先の名前 | 自社の管理用は相手をまたいで1枚に持ってよい。相手に見せる用は分ける(後述) |
| カテゴリ | 商談・改善・顧問・事務など、課題の種類 | 増やしすぎない。10個を超えると分類に迷う時間のほうが長くなる |
| タイトル | 一覧で見分けられる短い見出し | 「〜の件」で止めず、何をするのかまで書く |
| 内容 | 課題の中身。起票したときに1度だけ書く | 後から書き換えない。当初どういう話だったかが分からなくなるため |
| 検討状況 | 日付をつけて経緯を追記していく | 上書きせず足していく。この列が議事メモそのものになる |
| 期限・対応者 | いつまでに、誰が | 空欄を許す。埋めることを目的にすると更新が止まる |
| 状態 | 起票・対応中・完了の3つ | 3つより増やさない。細かくすると誰も更新しなくなる |
「検討状況」に日付をつけて足していく
この形で一番効くのが検討状況の列です。行は増やさず、1つのセルの中に日付をつけて経緯を足していきます。
表の行が増えるのは、新しい課題が生まれたときだけです。既にある課題の話が打ち合わせで出たら、行は足さずにその課題の検討状況へ1件書き足します。1回の打ち合わせで触れた課題の数だけ書き足すことになりますが、1件あたり1〜2文なので数分で済みます。
それでいて、このセルを上から読めば経緯を追えます。決まったことだけを清書した議事録より、なぜそうなったかが分かる記録になります。前提が変わった経緯が残るため、後から「なぜこの条件になったのか」を説明する場面でも使えます。
決着がついていない話ほど、この形が効きます。結論が出るまで何度も話題に上がるものは、追記が積み重なるほど背景が濃くなっていきます。
この書き足しを手でやる部分は、無料トライアルで自動化を試せます。
14日間無料で試す相手と共有するなら、ファイルは相手ごとに分ける
この一覧は、自分用に持っておくだけでも役に立ちますが、相手と同じものを見ながら打ち合わせると効果が変わります。次に何をするか、誰がいつまでにやるかが、その場で揃うためです。認識のズレは、後から議事録を送って確認するより、その場で画面を見ながら直したほうが早く片付きます。
ただし1点、必ず守る必要があります。相手に見せるファイルは、相手ごとに分けてください。自分の管理用は複数の顧客を1枚にまとめたほうが扱いやすいのですが、それをそのまま共有すると、他社の商談内容や取引条件まで見せることになります。
運用としては、自社用の一覧と、顧客ごとの共有用を別ファイルにするのが確実です。フィルタで隠して画面を見せる方法は、操作を1つ間違えると他社の行が出るため、避けたほうが安全です。
共有用は、自社用から少し形を変えると使いやすくなります。1ファイル1社になるので顧客の列は不要になり、代わりに先頭へ「◯◯様 課題一覧」と更新日を置きます。カテゴリも、社内の区分ではなく相手に意味が通じる区分に置き換えます。
もう1つ、共有用には課題以外も載せて構いません。関係しそうなセミナーの案内、担当者の長期休暇の予定、参考になる制度の情報など、次の打ち合わせで触れたいことを同じ表に並べておくと、伝え忘れが減ります。課題管理表というより、相手との共有事項を集めた場として使うほうが実態に合います。
この形の限界
何年か続けてみて、うまくいかない部分もはっきりしています。
第一に、打ち合わせ中に書けません。会話をしながら一覧を更新するのは難しく、結局その場はメモを取り、後で転記することになります。転記が残る限り、書く作業がなくなったわけではありません。
第二に、書き漏れが検知できません。話に出たのに行を作らなかった課題は、存在しないものとして消えます。自分が気づいたことしか残らない、という限界があります。
第三に、続けるかどうかが人によります。同じ形を渡しても、更新が止まる人は止まります。
この3つは、書き方を工夫して解決する種類の問題ではありません。記録が自動で作られ、話に出た課題やタスクが自動で拾われる形にして、はじめて解消できます。MeetMateはその方向をとっていて、打ち合わせの内容から決定事項とタスクの候補を抽出し、相手ごとの履歴として積み上げます。転記の工程がなくなり、拾い漏れも自分の記憶だけに依存しなくなります。
とはいえ、単位を課題に置き、経緯を追記していくという考え方自体は、道具が何であっても変わりません。まずは表計算ソフトの一覧から始めて構わないと思います。
転記と拾い漏れが残るところは、実際の打ち合わせで試すと違いが分かります。
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